特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集
免疫学的検査
感染症関連検査
ウイルス関連検査
ムンプスウイルス
木村 吉延
1
1福井大学医学部微生物学
pp.373-375
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101835
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ムンプスウイルスはパラインフルエンザウイルスと同じパラミクソウイウルス科に属する.エンベロープに覆われたRNAウイルスで,直径150nmの球状粒子である.エンベロープは細胞膜脂質二重層からなり,2種類のウイルス蛋白(HAとF)がスパイク状に突き出ている.
ウイルス感染の第1段階でHAが細胞表面のレセプター分子に吸着する.続いてFが働いてウイルスエンベロープと細胞膜との融合が起こりウイルスゲノムが細胞質内へ導入される.
異常値の出るメカニズムと臨床的意義
ムンプスウイルス感染症の経過を図1に示す.ムンプスウイルスは飛沫感染(一部は接触感染)で上気道粘膜から頸部リンパ節に侵入し血行を介して唾液腺細胞で増殖する.潜伏期2~3週間を経て流行性耳下腺炎として発症する.引き続いて第二次ウイルス血症が起こり,全身性感染となる.主たる標的臓器を表1に示す.特に腺組織に高い親和性を示すことから膵臓炎,思春期には睾丸炎(精巣炎)や卵巣炎,また神経系に感染が広がると無菌性髄膜炎が起こる.
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