特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集
外来でできる迅速キット検査
急性冠症候群
小川 晃生
1
,
福島 正人
1
,
清野 精彦
1
1日本医科大学第1内科
pp.64-66
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101726
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急性冠症候群の診療では,早期リスク層別化と初期治療判断が重要である.近年導入された新しい心筋生化学マーカーにより初期診断,リスク層別化,予後予測,治療評価などが可能になっている.現在,心筋壊死の生化学マーカーのうち外来でできる迅速検査はトロポニンT(TROP-T®),心臓型脂肪酸結合蛋白(H-FABP:heart type fatty acid binding protein, ラピチェック®),ミオグロビン(Cardiac Reader®)が挙げられ,急性冠症候群の早期診断に広く活用されている.
トロポニン測定の重要性と急性心筋梗塞診断基準の改訂
ACC/AHAの急性心筋梗塞診療ガイドライン(1999年),および不安定狭心症・非ST上昇型心筋梗塞診療ガイドライン(2000年)では,初期診断と初期治療の重要性が強調され,生化学的診断法として,心筋トロポニンは,CK,CK-MBに比し感度・特異度が高いこと,簡便な全血迅速診断法が開発されていること,リスク層別化,治療方針の決定に有用であることなどから,救急外来triageへの活用が推奨されている.そして2000年9月には,急性心筋梗塞の診断基準が全面改訂(ESC/ACC)された.すなわち,生化学マーカーの第一選択はCK,CK-MBからトロポニン(TおよびI)に刷新され,トロポニン上昇により検出される微小梗塞(CK上昇2倍未満)や,微小心筋傷害を伴う高リスク不安定狭心症も,急性心筋梗塞として包括されるようになった.
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