病理との付き合い方 明日から使える病理の基本【実践編】 10
甲状腺
前田 環
1
1藍野大学医療保健学部看護学科
pp.1930-1934
発行日 2006年11月10日
Published Date 2006/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101415
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内分泌疾患は,ホルモン動態によって複雑な症状を示すという特徴がある.しかし,病理診断においては,他の器官系と同じく,触診や画像診断で発見された腫瘤が「良性か悪性か」という点が重視される.免疫染色による産生ホルモンの特定も行われるが,このシリーズでは「良性か悪性か」の判定が問題となる頻度が高い甲状腺を取り上げた.
甲状腺疾患は,びまん性甲状腺腫(diffuse goiter)と結節性甲状腺腫(modular goiter)に大別される.病理診断で重要なのは結節性病変の鑑別で,ここに腺腫と癌,およびそれらとの鑑別を要する腺腫様甲状腺腫,囊胞(甲状腺舌管囊胞など)が含まれる.しかし,教科書的には「びまん性」の橋本病,Basedow病,亜急性甲状腺炎,アミロイド甲状腺腫なども,腫瘍様病変として病理学的検索の適応となる.
検索方法としては,穿刺吸引細胞診が果たす役割が大きく,切開生検は現在ほとんど行われていない.以下に,穿刺吸引細胞診と手術による切除検体を中心として,その取り扱いと関連する事項について紹介する.
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