特集 臨床医必携 単純X線写真の読み方・使い方
骨格系
病変と紛らわしい正常変異―偽病変を作らないために
藤本 肇
1
1沼津市立病院放射線科
pp.260-266
発行日 2004年11月30日
Published Date 2004/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101213
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典型的な症例
52歳男性の腹部単純X線写真正面像で,仙骨に重なる円形の石灰化陰影がある(図1a矢印).一見して尿管結石を思わせるが,CTを参照するとこの病変は仙骨の内部に存在するのが判明する(図1b矢印).
この陰影の本体は仙骨内に発生した内骨腫(骨島)である.日常診療でしばしば遭遇する正常変異の一つであり,骨盤周囲や肋骨に好発する.辺縁明瞭で均一な硬化像を呈すること,撮影体位によらず位置が変わらないこと,正常骨梁との連続性が認められることなどを考慮すれば容易に診断可能であるが,時にCTによる確認を要することがある.
骨格系の正常変異にはさまざまなものが知られている.これらの多くは単純写真で認められるものである.
本稿では,特に骨腫瘍あるいは骨折などと誤診されやすい正常変異を取り上げ,診断の要点を解説する.
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