特集 臨床医必携 単純X線写真の読み方・使い方
骨格系
骨膜反応―病変の発見と診断へのアプローチ
原澤 有美
1
1帝京大学医学部放射線科学教室
pp.268-272
発行日 2004年11月30日
Published Date 2004/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101214
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典型的な症例
下腿の脛骨,腓骨の骨幹部には骨皮質に沿って上下に連続した多層性,波状の石灰化像が認められる.骨膜反応の所見である.この症例は数年来,下腿静脈瘤と診断されており,下腿のびまん性腫脹が増強して疼痛があるため受診した.年余にわたる静脈うっ滞の持続に伴う骨膜反応は,このような連続性多層性~波状充実性骨膜反応を呈するのが典型的である.
骨膜反応(periosteal reaction)または,骨膜新生(periosteal new born formation)は,骨病変や骨近傍の軟部組織病変に対する非特異的な骨膜の反応で,画像上は骨皮質の外側に沿った石灰化像として検出される.骨膜反応を分析することによる骨軟部疾患の特異的な鑑別診断は必ずしも容易ではないが,骨膜反応を検出することによって病変の発見,診断の契機に繋がることも多い.
内科系診療を中心とした日常臨床の場では,原発性骨腫瘍に遭遇する機会は少なく,骨関節症状を主訴とする症例は必ずしも多くない.しかし,全身性疾患や内科的疾患の症例に合併する骨関節症状や,画像検査で遭遇する骨関節所見に注目する着眼点の一つとして認識しておく必要があると考える.
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