今月の主題 腹部疾患をエコーで診る
臓器・疾患別アプローチ―ワンポイントレクチャー
〈腹部大動脈・その他〉
nutcracker syndrome
大杉 圭
1
,
大熊 潔
1
1慶應義塾大学医学部放射線診断科
pp.281
発行日 2004年2月10日
Published Date 2004/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402100989
- 有料閲覧
- 文献概要
nutcracker syndromeはleft renal vein entrapment syndromeとも呼ばれる.左腎静脈は通常腹部大動脈と上腸間膜動脈の間を走行し下大静脈へと還流するが,これらの動脈に挟まれた状態で腎静脈圧が上昇し,毛細血管の破綻を招き,血尿をきたす現象をいう.小児の無症候性血尿の原因の一つであるが,成長とともにその多くは改善する.思春期のやせ形体型に多い.
エコー上では,心窩部横走査にて腹部大動脈と上腸間膜動脈の間を走行する左腎静脈が圧排され,左腎側の腎静脈が拡張していればnutcracker phenomenon陽性とする(図1,2).パルスドプラで狭窄部静脈血流がジェットとなっていることを確認する.腰静脈叢などへ向かう側副路が形成されることがあり,これもドプラにて確認する.側副路の形成とともに症状は改善するとされる.
Copyright © 2004, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.