今月の主題 腹部疾患をエコーで診る
臓器・疾患別アプローチ―ワンポイントレクチャー
〈膵〉
特殊な膵炎(自己免疫性膵炎)
唐澤 英偉
1
1国際医療福祉大学附属熱海病院消化器内科
pp.236
発行日 2004年2月10日
Published Date 2004/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402100946
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自己免疫性膵炎は,発症に自己免疫機序の関与が疑われる膵炎である.びまん性の膵腫大や膵管狭細像を示す症例が中心で,高γグロブリン血症,高IgG血症や自己抗体の存在,ステロイド治療が有効など,自己免疫機序の関与を示唆する所見を伴う膵炎である.Sjögren症候群などの自己免疫疾患を合併している症例もみられる.臨床的特徴としては,下部胆管狭窄に伴う閉塞性黄疸,上腹部不快感,糖尿病を認めることが多い.中高年の男性に多く,予後は比較的良好である.
1. 超音波所見のポイント
自己免疫性膵炎の超音波所見の特徴は,膵のびまん性の腫大,内部の低エコーである.辺縁は,比較的平滑である.図の症例は,右上腹部横走査で膵頭部は円形の腫大を呈し,内部は均一な低エコーである(図1).超音波造影剤の静脈内投与により,腫瘍内部に規則性のある微細な血流信号が出現し,膵癌とは異なるパターンであった(図2).
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