今月の主題 腹部疾患をエコーで診る
臓器・疾患別アプローチ―ワンポイントレクチャー
〈胆囊・胆道系〉
原発性硬化性胆管炎
金田 智
1
1東京都済生会中央病院放射線科
pp.232
発行日 2004年2月10日
Published Date 2004/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402100942
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胆管の慢性炎症に伴う線維化により,胆管狭窄を生じる疾患である.多くの症例は自覚症状の出現前に,ALP高値など胆道系酵素値の異常がきっかけとなって診断される.
原因は不明であるが,遺伝因子をもつものがなんらかのきっかけに免疫異常を生じ,発症するのではないかと考えられている.欧米では潰瘍性大腸炎の合併が約70%,本邦では21%,また本邦の40歳以上の症例では慢性膵炎の合併率が高いなど,欧米と本邦では疫学的特徴が異なっている.そのため本邦では異なった病態の疾患が原発性硬化性胆管炎(primary sclerosing cholangitis)に含まれている可能性が指摘されている.肝内胆管結石や胆道感染に伴う二次性の硬化性胆管炎は除外しなくてはならないが,進行した硬化性胆管炎では,胆道感染や胆管内結石を合併することが知られており,区別の難しい症例があるものと考えられる.
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