今月の主題 腹部疾患をエコーで診る
臓器・疾患別アプローチ―ワンポイントレクチャー
〈肝(腫瘤性)〉
転移性肝癌
松本 茂藤子
1
,
森 秀明
1
1杏林大学医学部第3内科
pp.216
発行日 2004年2月10日
Published Date 2004/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402100928
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転移性肝癌は肝臓以外に発生した癌や肉腫が肝に転移したもので,転移経路としては血行性転移,リンパ行性転移,直接浸潤がある.血行性転移としては,胃癌,大腸癌,膵癌などからの経門脈性と,乳癌,腎癌などからの経肝動脈性がある.
本症の超音波所見としては,腫瘤は高エコーから低エコーをきたす例までさまざまで,多発性で大きさが揃っていることが多い.胃癌や大腸癌からの転移例は高エコー像のことが多く,膵癌や乳癌,悪性リンパ腫からの転移例は低エコー像のことが多い.また高エコー腫瘤の内部に不整形の無エコー域を有する像は扁平上皮癌や胃癌,大腸癌,肉腫による転移例に多く,この無エコー域は融解壊死を反映している.大腸癌,胃癌,卵巣癌,骨肉腫などからの転移例では腫瘍内に石灰化を伴うことがあり,後方に音響陰影が認められる.
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