カラーグラフ 足で診る糖尿病(4)
皮膚疾患(2)
新城 孝道
1
1東京女子医科大学糖尿病センター
pp.710-711
発行日 2004年4月10日
Published Date 2004/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402100779
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糖尿病患者の日常診療のなかで見過ごしてはならない足病変の一つが蜂窩織炎である(図1,2).足背,下腿,大腿,手,腕,その他にみられる.なかでも下肢での検出率が高い.糖尿病性神経障害が背景にあることが多く,皮膚の浮腫を合併していることが少なくない.蜂窩織炎は感染症を併発した場合と非感染例がある.原因は種々で,微細な皮膚の損傷からの感染が多い.歩行の際の履物による皮膚の機械的刺激,夜間の無意識な下肢の擦過や,入浴時のナイロンタオルなどでの摩擦で形成されることが少なくない.下肢でも片側性と両側性病変を示す例があり,まちまちである.皮膚表面が発赤し,腫脹を伴う(図1).糖尿病コントロール不良な例が蜂窩織炎より足壊疽へ進行悪化し,やむなく足切断に至った例があるため注意が必要である(図2).また心不全や腎障害を合併する例では滲出液が多く,局所の清潔維持が肝要である.
末期糖尿病腎症で血液透析療法例は皮膚病変の注意が重要である.皮膚の乾燥・亀裂形成,そう痒症および擦過傷は,よく目につく病変である.後天性穿孔性皮膚疾患は,真皮における膠原線維の圧出様病理所見を示す(図3).下肢に,散在性かつ反復性の丘状の発疹で中心部に栓様なものがみられる.小児に稀にみられる疾患とされていたが,網膜症や末期腎症患者でみられることが少なくない.腎不全に伴う高リン血症,その他に関与する後天性穿孔性皮膚疾患は,注意すると判別できる皮膚疾患である.末期腎症例で後天性穿孔性皮膚疾患合併例が皮膚そう痒症の擦過傷を合併し,感染症合併より壊疽へ進行した例もあるため注意が必要である.
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