特集 提言—あすの公衆衛生
疫学
祖父江 友孝
1
Tomotaka SOBUE
1
1大阪府立成人病センター調査部疫学課
pp.18-19
発行日 1993年1月15日
Published Date 1993/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902931
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◆最近の疫学の潮流
疫学は,集団における疾病の発生率を測定し,種々の要因との関連性を定量的に評価し,さらに,その因果関係を検討する学問である.その方法論は,疫学固有のものというよりは,種々の分野にも応用が可能であるため,最近では臨床疫学,薬剤疫学などの学際的な分野にも広がっている.また,疫学者自身が行う研究についても,基礎や臨床で開発された種々の生体指標を利用した血清疫学,遺伝子疫学などが盛んに行われ,今後もこのような傾向はますます強くなると思われる.
こうした暴露あるいは疾病の測定系についての進歩に対して,疫学そのものの考え方は,変化の少ない古典的なものと思われがちだが,実際には,ここ10年くらいの間に相当の変化があった.これは,疫学自身における変化というよりは,生物統計学の発展の影響を強く受けたといったほうがよいかもしれない.特に,多変量解析を中心とした新しい解析方法が,近年大きく進展を遂げ,いくつかのsemiparametricな解析方法に関してはほぼ評価が確立し,すでに標準的な解析法となっている.
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