特集 提言—あすの公衆衛生
今,再び「公衆衛生の時代」に
前田 秀雄
1
Hideo MAEDA
1
1清瀬保健相談所
pp.10-11
発行日 1993年1月15日
Published Date 1993/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902928
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◆はじめに
WHOがHealth for allの目標に掲げた西暦2000年まで後わずか7年となった.ただ,保健医療基盤が整備され,各種の健康水準も欧米並みになった日本では,すでにHealth for allは達成され,もはや必要なのはサービスの充実のみであるとする声がある.このため,公衆衛生活動はもはや必要なく,いかに保健医療サービスを民間(商業)ベースで効率的に供給するかを検討すればよいとする意見がある.
しかしながら,最近保健医療の焦点が,成人病一辺倒から,地球環境エイズ,高齢化社会といった未知の課題にうつるにつれ,その考え方もまた揺らぎ始めている.今後の新たな保健問題の解決を担うのは誰なのかという点について,日本の公衆衛生の原点ともいえる戦後の公衆衛生活動との比較を行いながら,若干の検討を試みた.
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