保健婦活動—こころに残るこの1例
頻回訪問を行い,看取ったケースを通して
白勢 貴美子
1
1小田原保健所健康指導課
pp.791
発行日 1990年11月15日
Published Date 1990/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902920
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近年,老齢人口の増加に伴い,慢性疾患患者や,医療機器を装着した状態での在宅療養者が増えている.本ケースもバルンカテーテルを挿入したままで退院となるため,病院から継続看護の依頼があり訪問を始めた.準備のための病棟訪問から,退院後は週1回の訪問を,息を引きとるまでの1年2カ月にわたり行った.7年間の保健婦経験の中でこれだけ濃厚にかかわりを持つことも,在宅で看取ることも初めてのことであった.
〔事例〕Kさん76歳.病名は心筋梗塞および脳血栓による左半身不全麻痺.現在は寝たきり状態で,全面介助が必要である.尿失禁の状態でバルンカテーテルが挿入されている.2,3年前よりぼけ症状が出現し,会話は無理であるが,応答は可能である.しかし,入院までは住職として仕事をしていた.家族は,茶道教師をしている妻71歳(主な介護者)と,Kさんに替わり寺の仕事をしている娘38歳,中学生の孫と4人である.
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