特集 ウイルス肝炎の疫学と予防
ウイルス肝炎の予防—C型肝炎の予防—院内感染防止を中心として
吉澤 浩司
1
Hiroshi YOSHIZAWA
1
1広島大学医学部衛生学
pp.761-765
発行日 1990年11月15日
Published Date 1990/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902914
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■はじめに
1989年,Kuoらにより血液を介して感染する非A非B型肝炎ウイルスのうちの一つであるC型肝炎ウイルス(HCV)の血清学的マーカー(C100-3抗体)の測定系が開発され1),C型肝炎の病態が一挙に明らかにされるものとの大きな期待が寄せられた.しかしその後,この測定系はC型肝炎診断のための第一世代の測定系とも言うべきものであり,未だ改良すべき点が多く残されていることも明らかにされつつある2).したがってC型肝炎の感染病態については,その解明がようやく緒についたところにあると言ってよいであろう.
HCV感染の予防対策は,その感染様式が類似していることから基本的にはB型肝炎ウイルス(HBV)感染の予防対策に準じて行えば良いと考えられる.しかし,HCVの場合は中和抗体の存在は未だ確認されておらず,またワクチンも完成していない点が大きく異なる.したがってHCVの感染予防は,その感染病態の理解の上に立った感染源対策,感染経路対策がその基本になるといえる.
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