特集 ウイルス肝炎の疫学と予防
ウイルス肝炎の予防—B型肝炎の予防—母子感染予防を中心に
多田 裕
1
Hiroshi TADA
1
1東邦大学医学部新生児学研究室
pp.757-760
発行日 1990年11月15日
Published Date 1990/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902913
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■はじめに
全妊婦を対象にHBs抗原のスクリーニングを行い,出生した児に感染の危険がある場合には,児に予防処置を実施することにより,成人になってから問題になる慢性肝炎,肝硬変,肝癌などの撲滅を目指すことは,疾病対策としては画期的なことである.
わが国では,国の事業として公費による妊婦のHBs抗原検査が1985年から実施されるようになり,翌年1月以降にHBs抗原とHBe抗原がともに陽性の母親から出生した児に対しては,抗HBsヒト免疫グロブリン(HBIG)とHBワクチンを用いて母子感染予防処置が行われるようになった1,2).
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