特集 改めて問う,保健事業はどれだけの成果をあげてきたか
健康教育の過去と未来
岡山 明
1
,
西 信雄
1
1岩手医科大学衛生学公衆衛生学
pp.473-477
発行日 2002年7月15日
Published Date 2002/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902761
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老人保健事業における健康教育の位置づけ
老人保健法が施行されて以来,市町村では広く健康教育や健康相談が実施されてきた.老人保健事業報告によると,健康教育の実施件数は平成元年に22万件だったものが,平成10年度には33万件と増加している1).では,健康教育が着実に効果を上げていると結論づけてよいのであろうか.本来健康教育は,効果が最も計測しやすいと考えられる.しかし実際には,「効果が見えない」,「対象者が固定化している」,「指導内容がマンネリ化している」等の,健康教育関連の事業への不満は大きい.
筆者らは健康診断事業の効果評価より,健康教育の効果を評価・改善するほうが容易であると考えている.健康教育は健康診断などに比べると,市町村の財政的な資源の消費は少ないが,保健師・栄養士などの人的な資源を大量に消費する事業である.健康教育を実施する際は人的資源をどのように確保するか,配置できるかが重要な因子となっている.
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