特集 若者にはびこる性感染症
神奈川県立大和西高等学校のエイズ(性)教育
阿部 真理子
1
1神奈川県立大和西高等学校
pp.326-330
発行日 2002年5月15日
Published Date 2002/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902725
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「教育こそHIV感染予防の最高のワクチン」と言われてから,かなりの年月が経過した.この間,高校においては文部科学省より予防啓発パンフレットが全生徒に配布されるなどの取り組みにより,ほとんどの生徒が「エイズ」に関する“HOW TO的知識”を持っていると推測される.しかしながら,最近の若者の性行動の早期化,性感染症や望まない妊娠などの増加をみると,知識が彼らの行動には役立っていないのではないかと考えざるを得ない.
現代は性情報が氾濫し,性に関する観念やモラル,価値観が変化・多様化する一方で,インターネットの“出会系サイト”や“メル友”などによる子どもたちの気軽さの背中合わせに落とし穴がある.コミュニケーション能力が十分培われていない子どもたちの現状から,「性の問題」に関しても単に知識を与えるだけではなく,自己の生き方・あり方を見つめ,互いの性を尊重する心を基盤に性情報を的確に見極め,主体的判断ができる態度や能力を育てる,現実に即した具体的な教育が必要であると考える.
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