特集 これからの国際保健医療協力
疾病負荷測定と優先順位決定の考え方と問題点
渋谷 健司
1
1世界保健機関
pp.265-269
発行日 2002年4月15日
Published Date 2002/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902711
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1978年度のアルマ・アタ宣言とそれに伴うプライマリ・ヘルスケア(PHC)概念の提唱から早くも四半世紀になろうとしている.この間,平均寿命などに示される絶対的健康状態は(それが保健セクターの効果によるものであろうとなかろうと)確実に改善されてきた.一方,「2000年度までにすべての人に健康を」というスローガンは結局達成されず,相対的健康状態は国家間・国内での格差が広がりつつある.経済的状況は不透明であり先進国は内向き思考になっている.このような状況のもとで国際保健協力はどうしたらよいのだろうか?
ここではある発展途上国にどのような保健サービスを導入したらよいかを考えてみることにしよう.まず貧困をなくすこと,独裁体制をなくすこと,軍事費用を削減することが先決であるなど,お題目的には極めて聞こえの良い,しかし現実を無視したイデオロギー的議論は別として,国際保健協力入門の第1章であるPHCを学んだ人ならば,おそらく「包括的でかつ公平性を重視した住民参加型の現地に根ざした自立支援保健プログラム」という模範解答を示してくれるはずである.しかし,これはすべてを含む一方であいまいな提言に陥りがちである.いったい何を行えばよいのかという問いには残念ながら答えてはいない.
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