特集 これからの国際保健医療協力
わが国の保健医療技術協力の動向と課題—情報発信とより良い協力の実施を目指して
藤崎 清道
1
1国際協力事業団医療協力部
pp.243-247
発行日 2002年4月15日
Published Date 2002/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902706
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はじめに
わが国のODAによる保健医療技術協力は1974年に設立された外務省所管の特殊法人である国際協力事業団(JICA)が実施機関として中心的な役割を果たしてきた.この間JICA実施事業は技術協力実施額・件数の増加に加え種々の協力スキームの拡大,評価制度の拡充,課題別指針の作成,WHOなどの国際機関やUSAIDなど他国援助機関との協力の実施など量・質両面にわたる拡充を遂げている.一方,保健医療技術協力の基盤となる専門家の養成や国際保健医療の学問分野についても,厚生省所管の国立国際医療センターの創設と国立病院のネットワーク化や国際保健学会の設立,大学における国際保健医療関係学科設置の増加など着実な進展が見られてきた.また,2000年沖縄サミットでの感染症イニシアティブのように,国際政治における日本の戦略的アプローチとして保健医療協力を活用していく傾向も強まっている.
一方,わが国のODAをめぐる環境は近年厳しさを増しており,実施機関側での対応が急務となっている.小泉内閣における「聖域なき構造改革」はODAも例外とせず2002年度予算案では前年当初予算比10%の減となり,今後もさらに減額が続く可能性があることから,ODAのより効率的な活用がいっそう求められている.併せて事業実施計画策定段階から実施後の評価に至るまでのすべての段階における情報の透明性が求められてきている.
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