特集 地研における公衆衛生情報ネットワーク
公衆衛生情報の将来展望
鈴木 重任
1
1東京都立衛生研究所
pp.380-392
発行日 2000年6月15日
Published Date 2000/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902307
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公衆衛生情報
厚生行政の範囲は年々拡大しつつあり,限られた資源の中でエビデンスに基づく効率的公衆衛生施策の実施があらゆる分野で必要とされている.情報をいかに集め,解析し提供するかということは行政上の意思決定や研究に重要なだけでなく,社会における公衆衛生のあり方にもかかわる問題である.さらに情報技術の進歩は情報の管理運営のあり方そのものを変えようとしている.すなわち,今,求められているのは,情報の即時性・平等性を持ったネットワーク,相互のリンケージにより新しい知見を生み出すことが可能であるようなデータベース群,だれでもが容易にデータ分析ができるようなアクセスの開放性,行政・民間の情報を結ぶ相互性などである.
地方衛生研究所(以下,地研)は平成6年の地域保健法の改正においてその基本指針の中で「地方における科学的,技術的中核機関」と定義され,平成9年の通知によって「公衆衛生情報等の収集・解析・提供業務について,公衆衛生に関する国,都道府県……のネットワークの中の地方拠点として業務を実施するとともに,得られた情報から地域に密着した公衆衛生に関する新たな課題を発掘し,またその解決のための研究を企画・実施する……」とされている.
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