連載 海外レポート ニューヨーク州保健省の日常・5
州単位で行う健康調査活動:BRFSS
オスラー 晃子
1,2
Akiko S. Hosler
1,2
1ニューヨーク州保健省慢性病疫学課
2ニューヨーク州立大学公衆衛生大学院
pp.358-359
発行日 2000年5月15日
Published Date 2000/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902301
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医療,保健の政策を展開していく上で,住民の健康に関する情報収集は,非常に重要で基本的な役割である.アメリカの各州も,法律で制度化されている人口動態調査,病院の退院患者届け,州健康保険データなど多くの医療関係データを所有し,州民の健康の動向を把握するのに利用している.しかしこうした法定のデータは,もともと行政事務を目的に収集されたもので,州民すべての総合的な健康状態の監視という点では不備が多い.特に医療機関にかかる以前の健康関連行動,慢性的な疾患,健康管理の知識など,予防医学に欠かせない状況の把握には使えない.そのため,こうした目的を満たす,特別な住民健康調査が必要となってくる.
アメリカでは,現在CDC(連邦予防局)の出資のもとに,各州が一斉に定期的な住民健康調査を行うBehavioral Risk Factor Surveillance System(BRFSS)というシステムが確立している.連邦レベルでは,1950年代から連邦健康統計局(NCHS)の管轄で行われている,全国健康調査などが存在しているが,州レベルでかつ全国一斉という点では,このBRFSSがただ一つの健康調査である.BRFSSの歴史は比較的新しく,1970年代の後半に,州の成人病教育と慢性病予防活動のための情報収集の手段として,CDCの研究者によって考案された.
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