整骨放談
備州長久の刀
山室 隆夫
1
1京都大学整形外科
pp.442
発行日 1980年4月25日
Published Date 1980/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1408906116
- 有料閲覧
- 文献概要
ここに重厚な気品を湛えた一振りの刀がある.白木の鞘に収まつた二尺一寸の大刀で,備州長久の銘がある.南北朝末期の作であるという.その白木の鞘の表には「第7回武徳会青年演武会柔道優勝者」とあり,裏には「明治三十七年 嘉納治五郎」と墨書されている.
私はこの刀が京都の研師のもとへ出されるのをお世話したに過ぎないのであるが,整形外科の大先達である伊藤老先生がこの刀を得られた経緯をおききして大変感銘を受けた.そして,この刀が研ぎ上げられて私を通して老先生に返されるために大学の私の部屋へ持つてこられた時,私はその美しさと感銘を全教室員に披露したい気持をおさえる事ができなかつた.
Copyright © 1980, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.