特集 エイズ対策の再検証—人権の視点から
保健医療福祉における「人権」とは
坂井 眞
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1青葉総合法律事務所
キーワード:
人権
,
プライバシー
,
自己選択
,
自己責任
,
医療情報
Keyword:
人権
,
プライバシー
,
自己選択
,
自己責任
,
医療情報
pp.403-408
発行日 1998年6月15日
Published Date 1998/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901897
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1980年代に入り,アメリカ合衆国においてエイズ症例が報告され,HIVがその病原体として同定された後も,決定的な治療法がないままわが国を含めた全世界にエイズは広まった.その過程において,当初から,十分な根拠なしに,エイズは奇異な恐ろしい病気であるとして発症者・感染者が社会から差別を受けた.同時にわが国におけるエイズ感染者探し報道で発生したように,感染者のみならず,その近親者などに対する差別やプライバシー侵害がもたらされた.
このような根拠のない差別やプライバシー侵害は,エイズに限らず他の疾患に関してもわが国においては日常的に起こってきたことであり,その最悪の実例がハンセン病に対するらい予防法体制であった.その人権無視の悪法ぶりは,なぜ最近までそのような法律が存続し得たのかという問題も含めて検討し,今後に生かすべき課題である.
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