特集 公衆衛生の経済学
なぜ長野県民は長寿か—医療経済的視点からみた分析
川渕 孝一
1
1日本福祉大学経済学部
pp.25-29
発行日 1999年1月15日
Published Date 1999/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902014
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21世紀になると,わが国は本格的な少子・高齢社会を迎えるが,国および地方自治体の借金は約550兆円(国鉄の累積赤字を含む)に近づいており,先行きの不透明感が国民に広がっている.特に,高齢社会が進むと,病気になったり要介護者になるリスクが高まるが,その一方で,少子化のためにその面倒をみる人が相対的に少なくなるので,国民はますます不安感を増幅させている.
そこで政府は,こうした国民の「医療・福祉に対する不安」を払拭するために公的介護保険の創設を決定した.しかし不思議なことに,この公的介護保険の論議も今一つ盛り上がりに欠ける.その理由は,公的介護保険が創設されれば国民に広がる医療・福祉への不安が払拭され,本当に国が唱えるような社会全体で介護サービスを担うシステムが構築されるかどうかがわからないからである.
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