調査報告
タイ国パヤオ県C総合病院における感染事故予防対策の展開
福田 英輝
1
,
紺山 和一
2
,
木本 絹子
1
,
小川 正純
3
,
曽田 研二
4
,
多田羅 浩三
1
,
Sirichai Limsuwan
5
1大阪大学医学部公衆衛生学教室
2順天堂大学医学部眼科学教室
3国際協力事業団タイ国事務所
4横浜市立大学医学部公衆衛生学教室
5タイ国パヤオ県チェンカム総合病院
pp.598-602
発行日 1998年8月15日
Published Date 1998/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901943
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タイ国でのHIV感染の広がりは,HIV感染者と医療従事者との接触機会を増大させた.タイ国内の医療機関においては,そこに従事する者のHIV感染に関する知識の不足や,医療機関における感染事故予防対策の不備からHIV感染者に対する偏見を生じているのが現状である.また,この偏見は,医師,看護婦などの医療専門職よりも,清掃職員,患者移送担当者,看護助手などの非専門的医療従事者において深刻のようである.
タイ国エイズ予防対策プロジェクトは,国際協力事業団(JICA)により1993年から1996年まで実施されたプロジェクトである.当プロジェクトの公衆衛生活動の一つとして「タイ国総合病院における感染事故予防対策」の拡充を目的とした協力があり,タイ国北部に位置するパヤオ県C総合病院をモデルとして,現状分析から評価までの一連の活動が展開された.今回は,筆者らが参画した当協力活動を通じて得られた知見をもとに,タイ国総合病院の感染事故予防対策の現状とその課題を考察し,これらの課題を乗り越えるために実施した活動を紹介する.
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