連載 ヘルスセクターリフォームの国際動向・5
ヨーロッパ—中東欧・旧ソ連邦新興独立国・2
竹内 百重
1
,
長谷川 敏彦
1
1国立医療・病院管理研究所医療政策研究部
pp.498-502
発行日 1998年7月15日
Published Date 1998/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901919
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セマシュコ型における健康変革(6号より続く)
2.供給体制
図1に示したように,セマシュコ型の諸国においては人口当たりの病床数も医療従事者数も,また医師とのコンタクト回数も多い傾向にあり,とくにCISにおいてそれが顕著である.また,世界の同程度の中所得国の平均から比べてもCEE/NIS諸国の病床数は人口千当たりで2〜6倍,医師数に関しては1.5〜6倍もの数である.しかし一人当たり医療支出をPPP(購買力平価)ドルで比較すると,CEE/NIS諸国のそれは中所得国の半分から一番多くても2倍でしかない.さらに,入院医療費に多くの資源が費やされてしまうため,おのずとプライマリ・ケアや予防医療までには資源が分配されないことになる.また,医師の構成をみても,専門医は多いが,第一線医療を受け持つ一般診療医(general practitioner;GP)は多くない.GPの総医師に占める割合はいずれも2〜3割とそれほど変わらないのだが,そのうち資格をもった医師を比較すると西欧は4割程度なのに対し,まだ1割にも満たない.
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