特集 海外の公衆衛生専門教育—日本と比較して
米国における公衆衛生学教育—ハーバード大学大学院課程について
佐藤 元
1
1東京大学医学部国際保健計画学教室
pp.185-190
発行日 1998年3月15日
Published Date 1998/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901851
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
本稿は,米国における公衆衛生教育,とくにその大学院教育の概略を紹介する.筆者が修士・博士課程を通じて在籍したHarvard大学のケースを提示し,日本との比較において際だっている点を述べ,論ずることとする.
米国における公衆衛生教育は,1909年に同大学医学部内にDepartment of Preventive Medicine and Hygiene(予防医学・衛生学教室)が,その後1919年にはMIT(マサチューセッツ工科大学)との共同でthe Harvard-MIT School of Health Officersが創設されたことに始まる.独立大学院としてのHarvard School of Public Healthはそれを引き継ぐ形で1922年に設立された.現在,同大学院は300名に及ぶ教官,世界40力国以上からの700名余りの学生と研究者を抱える.学生,教官ともに幅広い経歴を持ち,保健医療行政官,疫学者,看護婦,歯科医,法律家,統計学者,環境科学者,工学専門家,心理学者,ソーシャルワーカーなどを擁する.医師は全体の30%程度である1).
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.