特集 成人病から生活習慣病へ
「生活習慣病」でよいのか—脳卒中予防対策の現場から
横田 紀美子
1
1茨城県協和町保健センター
pp.105-107
発行日 1998年2月15日
Published Date 1998/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901834
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茨城県協和町(人口1.7万人)では,1981年から町の健康づくりの重点事業として,脳卒中半減対策を継続して行っており,現在16年目を迎える.この対策は,1981年当時死亡の第1位を占めた脳卒中に関して,その発生率を半分に減らすことを目標にかかげた.この目標達成の具体的方策としては,まず町民40歳以上全員(勤務者も含む)を対象に健診を行い,高血圧者を把握して生活指導を行うとともに,必要な者に対して他の医療機関に受診勧奨を行い,適切な治療ルートにのせる(高血圧の2次予防)ことである1).1983年からは,高血圧者以外の住民に対しても高血圧の1次予防を目的として,メディア,健康まつり,小学校の授業,食品協会との協力活動を介した健康教育キャンペーンを実施してきた1).この結果,1980年代前半から1990年代後半にかけて,脳卒中の発生率は女子が半減,男子で20%の減少がみられ女子に関しては,当初の目標が達成された.本事業において対策を行ったスタッフのみならず,一般住民にも広めていった共通の認識として「成人病は予防できる.とくに脳卒中は,高血圧を中心とする管理で半減できる」という認識であった.高血圧の管理には,前述したように高血圧者の薬物治療と生活改善(2次予防),非高血圧者に対する生活改善による高血圧自体の予防(1次予防)から成る.
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