視点
臓器移植法施行によせて
小林 秀資
1
1厚生省保健医療局
pp.90-91
発行日 1998年2月15日
Published Date 1998/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901829
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平成9年10月16日,「臓器の移植に関する法律」(以下「臓器移植法」という)が施行された.この法律が制定されるまでに,脳死と臓器移植をめぐる諸問題について,さまざまな場で議論が展開されてきた.平成2年3月に設置された臨時脳死及び臓器移植調査会(脳死臨調,永井道雄会長)においては,平成4年の1月の答申まで2年間にわたり各界の有識者による調査・審議が行われた.その後,関係省庁間で連絡を取りつつ,この問題の円滑な解決のため,立法化の問題を含め検討を行ったが,必ずしも政府提案という形には結びつかず,このため国会において,超党派の国会議員からなる生命倫理研究議員連盟や脳死および臓器移植に関する各党協議会において議論が重ねられ,議員立法による臓器移植の立法化の検討が具体化された.その結果,平成6年4月に法案が議員立法として衆議院に提出され,その後,平成8年9月の衆議院解散に伴う廃案,同12月に再提出という経過を経て,本年6月に一部修正の上,法律が成立をみるに至ったのはご承知のとおりである.
こうした脳死と臓器移植の問題に関する論議の中で筆者なりに感じたことを少々述べてみたい.
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