特集 公衆衛生をささえるもの—情報
疾病別統計情報の質の向上と活用法—結核を中心に
阿彦 忠之
1
1山形県山形保健所
pp.735-739
発行日 1997年10月15日
Published Date 1997/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901771
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保健所は,地域の健康問題に関する情報の宝庫である.人口動態統計をはじめとする各種の厚生統計はもちろん,脳卒中登録や結核・感染症サーベイランスなど,扱っている健康清報の種類と量の豊富さで,保健所の右に出るものはないであろう.地域保健法では,この貴重な資源を生かすためにも,保健所の情報管理や調査研究機能の強化を強く求めている.筆者もわずかな経験であるが,保健所で収集可能な統計には,地域の健康問題の分析あるいは保健福祉サービスの質的評価とその改善方策の提案のために,役に立つ情報が多いことを実感している.しかし現実はどうかというと,このような目的で情報を収集し解析しようという問題意識はまだまだ低い.電算化の進展により保健所の情報管理の基盤はかなり整ったようにみえるが,高まっているのはもっぱら,国や県への報告という無機質な目的の情報処理機能である.地域の保健福祉に関する計画や評価などの目的に応じて,収集する統計情報の種類や質を管理し,これをいかに役に立つ「情報」に加工し活用できるかが,今後の保健所の課題である.そこで本稿では,筆者が保健所で「情報管理」の重要性をとくに痛感した分野である感染症対策,とりわけ結核対策での実践例を紹介しながら,情報の収集,蓄積,評価などのあり方を述べてみたい.
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