原著
死因統計を中心とした職業と疾病との關係
平山 雄
1
1公衆衞生院疫學部
pp.215-221
発行日 1949年10月15日
Published Date 1949/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200541
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1.緒言
職業と疾病との關係が,社會醫學,産業醫學の根幹を成す重要問題である事は,言を俟たない所である。更に,疫學總論の體系づけの點から言つても,是非とも一應檢討すべき課題である。米英には,既に,死因統計を中心とした,本問題に關する優秀なる統計が存在するが,我が國には,遣憾乍ら現在迄の所,完備した報告は見當らない。わが國の死因統計にも職業別の集計は爲されている。しかし,(1)職業別人口は國勢調査年次には報告されてあるが,その年の死因統計の職業分類は國勢調査のそれと異る事,(2)死因別に職業別年齡別の數字が掲載されて居ず,從つて年齡構成の修正が不可能である事,等の根本的な隘路があり,渡邊の強調した如く,職業統計と名付けるに或いは値しないものかも知れない。しかしながら,他に死因統計に優る多數例の資料が見當らぬ今日としては,この死因統計をその不備を極力推計で補正しつゝ檢討する事が,唯一の路と考えられたので,本問題研究の第1段階として色々な角度からの觀察を試みて見た。その結果,將來の研究の參考となる諸事實を得たと考えるので,報告する次第である。
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