特集 今,WHOの歩みから学ぶもの
サンドバール宣言と環境変革の思想
塩飽 邦憲
1
,
山根 洋右
1
1島根医科大学環境保健医学教室
pp.624-627
発行日 1997年9月15日
Published Date 1997/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901752
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ヘルスプロモーションと健康支援環境
1974年に,カナダ保健大臣Lalondeの提起した「カナダ人のための保健政策」は,カナダ国内ではあまり注目されなかったが,WHOのアルマアタ宣言,ヘルス・プロモーションに関するオタワ宣言につながった.また,ヨーロッパでは,1980年ごろより多要因性の生活習慣病やストレス関連疾患が多くなり,自立的な健康活動の重要性が強く認識されるようになった.障害者のノーマライゼーション,ILOの「職業病対策」から「作業関連疾患に対応したヘルスプロモーション」への転換などとも相まって,住民や患者の主体的なヘルスケアが強調された.WHO欧州事務局は,これらを受けて,1980年にヘルスケア政策を転換した.すなわち,ニーズ対応・公平な政策やケアシステムの確立,学習や情報提供を中心としたライフスタイル対策,ヘルスケアにおける住民参加の促進,資源の有効活用,政策やサービスの協調や統合,健康を支援する環境づくりなどである.オタワ宣言の中で唱われた健康支援環境(supportive environrnent)実現の活動として,ヘルシーシティズがWHOの欧州事務局から提起された.また,1991年にスウェーデンのサンドバールに81カ国の代表が集まり,健康支援環境づくりについて議論が行われた(表1).
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