視点
難病ケアについて保健所に期待するもの
川村 佐和子
1
1東京医科歯科大学医学部保健衛生学科基礎・臨床看護学
pp.378-379
発行日 1997年6月15日
Published Date 1997/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901697
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難病対策はスモン患者救済活動に起源をもち,医療と福祉の恩恵から疎外されている人々に共通する課題を改善するものとして存在してきた.
従来の難病対策における保健所の役割について,筆者は予防的な思想をもって,住民の保健問題を発掘し,それを解決に導くための地域的な施策を見いだして,普及し,最も適切なチームにそれをゆだねていくという活動を見てきた.その経過を振り返ってみると,昭和47年に,国は特定疾患対策(いわゆる難病対策)を開始し,厚生省は,昭和50年に特定疾患「難病の治療・看護調査研究」班を設け,難病患者の生活実態調査を行った.初めの調査結果で明らかになったことは,難病療養者は診断確定が困難,症状が悪化しても医療継続や入院が困難,身体的障害が重度化しているにもかかわらず,福祉の恩恵を受けられないという実態であった.そこで,同研究班に参加していた東京都東村山保健所や日野保健所,三鷹保健所,京都府向陽保健所,富山県の保健所などが,それぞれの地域で,医師会と連携する「難病の地域ケアシステム」の開発に着手し,各種の事業が開発された.
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