レポート
旧松尾鉱山鉱毒水に汚染された北上川と清流化対応
照井 晧央
1
1岩手女子高等学校衛生看護専攻科
pp.900-905
発行日 1996年12月15日
Published Date 1996/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901615
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わが国における休廃止鉱山は,通産省が把握するもので5,733カ所もあり,その中でヒ素・カドミウムなどの重金属類による蓄積複合汚染鉱害の危険を有するもので一応概略的な調査の終了したものは,3,943カ所といわれている.その中でも旧松尾鉱山鉱害は,ほかの休廃止鉱山とは比較にならないほど大規模で,その鉱害源がもたらした環境破壊も,与えた影響範囲が広域で,質・量と潜在的な危険性も比類のないもので,その鉱害対策も半永久的に必要とされるなど,わが国における特異な鉱害例となっている.
旧松尾鉱山鉱害は,わが国の休廃止鉱山鉱害の原点ともいわれるように複雑であったために,鉱害への対応が当時の関係鉱害法制度では対応できず,国の5省庁・岩手県・その他の関係諸機関・諸団体などが様々な形で関係せざるを得なかった.国が鉱害対策の推進に直接介入してその対策に関与したことは,休廃止鉱山鉱害においてわが国では初めてであり,国および地方自治体の鉱害行政を大きく変容させ,鉱害関係法制定ならびに改正に大きく寄与するとともに,その先駆的な役割を果たした.
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