特集 小児期の成人病
小中学生における小児期の成人病対策
坂本 元子
1
1和洋女子大学生活学科
pp.864-868
発行日 1996年12月15日
Published Date 1996/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901607
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子どもをめぐる健康問題の中でも,肥満,高脂血症,高血圧,さらには糖尿病の増加は大きな社会問題として認められつつあり,学校や地域社会がこの問題の対策に動き始めている.このような慢性疾患の多くは,日常生活,とくに食事の不規則さや偏りといった要因がもとになっているとされている.経済成長に伴い,西欧型の食生活や都市型の生活を享受することができるようになり,その生活習慣はいまや都市・農村を問わず浸透している.このことは一方で,こうした生活・食環境では,すべての子どもが同じように慢性疾患にかかる危険性をもっていると考えることができる.
慢性疾患の病変がすでに小児期から始まっていると憂慮しはじめたのはアメリカで,小児期からの成人病の重要性が1970年代のThe Bogalusa Heart Study1,2),で明らかにされ,その他の地域の報告でも指摘されている3).動脈硬化の発症については,成人では多価不飽和脂肪酸の摂取はコレステロールやLDL・HDLコレステロール値と負の相関を示しているという報告や,小児期からの高コレステロール食の摂取は大動脈のエステル型コレステロールの酵素活性に変化をもたらすなど,食事性の影響が高いことが示唆されている4).
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