研究
一郡下全小中学生における心疾患検診について
陶 棣土
1
,
陶 易王
1
,
寺島 重信
1
,
神辺 譲
1
,
横山 成樹
1
,
安江 満悟
1
,
深海 和夫
1
,
田村 善朗
2
,
木内 松代子
3
,
佐藤山 たかぢ
3
1長野県厚生連佐久総合病院
2長野県南佐久郡学校医会
3長野県佐久保健所
pp.207-213
発行日 1968年4月15日
Published Date 1968/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203657
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はじめに
循環器病の発展や心血管外科の発達普及に伴い,学校医がしばしば経験する学童生徒の先天性ならびに後天性心疾患は,近年大きな問題として注目されている。それにもかかわらず本邦では学童生徒の心集検および心疾患児の管理については組織的な体制が整っておらず,特殊な地域を除いて心疾患の実態もはっきりしていない。先天性心疾患は適切な処置によって天寿を全うしうるものが多いのであるが,乳幼児期に正確な診断がつけられることは比較的少なく,多数の症例が診断不確実のまま放置される例が多いと思われる。また先天性心疾患とわかっていながら本邦へき地にあっては根治的な治療法がわからず,経済的に多大の負担がかかること,さらに愁訴の強くないものもあるため,なんとはなしに放置されている症例も多い。
後天性心疾患についていえば,その大部分をしめる弁膜性疾患は幼少期におけるリウマチ性疾患から始まることが一般的にいわれており,小中学生の時期における組織的な集団検診と学校管理による早期治療は,成人の弁膜性疾患をなくす近道であると思われる。過去結核が減少した理由の一つが,学校における結核患児の早期発見と管理にあったことを思えば,心疾患についても軌を一にするものであろう。
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