活動レポート 長崎県琴海町の保健福祉計画の策定とケアマネジメントの展開・6
問題点と課題
森 俊介
1
1国民健康保険琴海町立病院
pp.806-808
発行日 1996年11月15日
Published Date 1996/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901593
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今まで5回にわたり,琴海町での試みについて述べさせていただいた.
要は,①家族の介護力が低下している現在,老人介護は家族のみでは限界があり,地域社会で見てゆくしかないとの認識に立ち,在宅に固執することなく,施設をうまく利用することが肝要である.②地域社会では「どのように,お年寄りを看取りたいのか」,そして自分たちが,「どのような地域で死にたいのか」などの基本理念を作り上げ,その理念に基づき,10年,20年,30年という長期展望に立って,人的および社会的資源を蓄積してゆかねばならない.③少ない社会資源を有効に利用するためには,新しい概念で,「保健・医療・福祉の連携」を捕らえ直す必要がある.新しい「連携」の概念に基づいたシステムとは,保健,医療,福祉の3者に住民(ボランティア),当事者(患者本人あるいは家族)を加えた5者によるケア会議を定期的に開催し,この5者が時間的にも空間的にも同時にお年寄りを支えるという「おみこし」方式による支援体勢を構築することである.④地域住民は,すべてを行政に頼るのではなく,一人一人が自分たちに何ができるかを考えながら,行政とともに地域を作り上げる気概が必要である.⑤行政側は,住民の意見を真摯に取り入れる姿勢とシステムを持っていなければならない.ということを強調したかった.今回は,この間の運動を振り返って,いくつかの課題と将来展望について述べてみたい.
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