EDITORIAL
リウマチ熱患者の管理—その問題点と課題
加藤 新
1
1国立横浜病院
pp.1217
発行日 1969年11月10日
Published Date 1969/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402202859
- 有料閲覧
- 文献概要
リウマチ熱患者の管理を,第1に活動性の急性リウマチ熱,第2に活動性消退後のリウマチ性心臓病,この2つの部門に分けて,それぞれの問題点を指摘してみたい.
すると第1の部門については,1)急性リウマチ熱の経過において心臓障害を残さしめない,もしくは少なくも最小限にするためには,治療法をどうするか?—心臓障害防止上適切な治療法選択の問題,2)リウマチ熱既往者における再発予防法としては,どの方式がよいかの問題,3)さらに初回発症そのものを予防する問題以上の3項目が含まれる.次に第2の部門については,1)弁膜症の外科的治療に際し,病理組織学的所見として比較的高率にAshoff体が認められたところから,従来行なわれた通常の臨床検査ではとらえがたいリウマチ性炎症の潜在的持続という事実が提起した問題,2)ことに心臓予備力が減じている場合に,予後を悪化させるうっ血性心不全の生起と亜急性細菌性心内膜炎の合併,ならびに偶発的一般感染症を,どう予防し治療するかの問題,3)血流動力学的障害としての弁膜症だけが残り,リウマチ活動性は解消したと診断した場合は,運動許容度など,社会環境内において患者個人別に考えられるべき再適応の問題が含まれるであろう.以上の諸問題点は,今後も常にリウマチ熱の臨床医学的知見の進歩と歩調を合わせてくり返し再検討されてゆかなければならないはずである.
Copyright © 1969, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.