特集 交通事故の予防医学
日本の交通安全政策
井野 忠彦
1,2
1前 総務庁長官官房交通安全対策室
2現 警察庁九州管区警察局
pp.470-474
発行日 1996年7月15日
Published Date 1996/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901513
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戦後の交通事故
死者50万人,負傷者2,500万人.戦後50年間での道路交通事故による犠牲者の多さは決して見過ごすことのできるものではありません.わが国における交通事故による死傷者数は,モータリゼーションの進展に伴い,昭和45年に至るまで年とともに増加し,同年には死者数1万6,765人,負傷者数98万1,096人を記録し,史上最悪の状況に至りました.その後昭和54年まで減少したものの,再び増加に転じています.さらに,平成になってからだけでも既に8万人近くの方が交通事故により亡くなっており,交通事故の状況は極めて厳しいものとなっております(図1).
また,近年の交通事故の特徴をみると,16歳から24歳までの若者と65歳以上の高齢者で死者数の過半数を占めていること,高齢者の死者が急増していること,自動車乗車中の死者が高水準で推移していること,自動車乗車中の死者のうちシートベルト非着用者が7割以上を占めていること,夜間における死亡事故件数が高水準で推移していることなどが挙げられます(図2,3).
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