特集 感染症の新たな動向
感染症サーベイランスより見た感染症の動向
新村 和哉
1
1厚生省保健医療局エイズ結核感染症課
pp.368-372
発行日 1996年6月15日
Published Date 1996/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901490
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近年,医学の進歩,生活水準の向上,衛生環境の改善,予防接種の普及などにより,従来患者発生が多く,死亡率も高かった法定・指定伝染病は著しく減少してきた.しかし,これらに代わって,比較的症状は軽いが,まれに重篤な合併症や後遺症をもたらし,時に大きな流行を引き起こすような疾病への対応が感染症対策として重要となってきた.
このような状況を踏まえ,昭和56年7月,都道府県・指定都市,地方衛生研究所,医療機関,医師会などの協力を得て,感染症に対する適切な対策を講じ,感染症の流行を防止するための「感染症サーベイランス事業」を開始した.この事業は,麻しん様疾患,風しん,流行性耳下腺炎などの主に小児の急性感染症を対象として,全国各地に定点医療機関(約3,000カ所)を設定し,全国的な患者の発生状況に関する情報を週ごとに,各都道府県の地方衛生研究所などにおける病原体の検索結果に関する情報を月ごとに収集し,得られた情報を都道府県毎および全国規模で解析評価を行い,集計解析結果を速やかに各地域に還元するものである.
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