寄稿
感染症サーベイランスをめぐる諸問題
重松 逸造
1
,
乗木 秀夫
2
,
平石 浩
3
,
杉山 茂彦
4
,
井上 裕正
5
,
甲野 礼作
6
1国立公衆衛生院
2日本医科大学(感染症情報組織)
3東京都立豊島病院(感染症センター)
4大阪市桃山病院
5愛知県衛生研究所(検査情報)
6国立予防衛生研究所(血清銀行)
pp.729-737
発行日 1972年11月15日
Published Date 1972/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401204582
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QuarantineよりSurveillanceへ―これが最近における感染症対策のあり方の相い言葉になっているといってよい.その意味は,感染症患者の強制隔離や行動制限といった,いうなれば警察行政的な措置(Quarantine)よりは,個人の自由をしばることなく,患者の発生していない普段より十分の情報を継続的に収集,解析および配布すること(Surveillance)によって,感染症対策の目的を達しようということで,人権尊重の立場に立った考え方ということができよう.
Surveillanceという言葉は「監視」という意味であり,「患者」の監視と間違われ易いが,その真意は「感染症」そのもの,あるいは「病原体」自身を常時に監視しようということである.したがって,Surveillanceをただ「監視」というと誤解される恐れがあるので,ここでは「サーベイランス」と仮名書きにすることにした.
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