特集 マルチメディアの保健活動への活用を考える
マルチメディア活用による在宅ケア支援—双方向CATVによる在宅ケア支援システムの概要と運用評価
松浦 尊麿
1
1五色町健康福祉総合センター
pp.355-358
発行日 1996年5月15日
Published Date 1996/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901482
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高齢化社会の到来をきっかけとして,ハンディキャップを抱えながら在宅生活をしている人たちへの各種ケアが推進されている.医療においても余命の質を重視する観点から,終末期を家庭で過ごせるための在宅医療の必要性がいわれ,各地で積極的な取り組みもみられるようになってきた.一方,在宅療養している当人の不安や介護している家族の精神的疲労は医療やケアにかかわる者の想像を越えるものがあり,当人が亡くなった後,介護者が寝込んでしまうという事例は後を絶たない.このような場面を目の当たりにした時ほど,われわれの「ケア」の不十分さが身にしみることはない.しかし,ケアスタッフが24時間その家に張り付くことも不可能なことである.一方,家族にとっては,相談したい時にリアルタイムで患者の状態を医者や看護婦に見てもらいながら相談できればどんなに精神的に心強いかしれない.また,ホームヘルパーや看護婦などが在宅ケアに訪問した家から気になる状態について即座に映像を通して主治医に相談できればケアの質的な向上にもつながるであろう.そのような思いを双方向CATVに託し,1995年5月から運用を開始したので,システムと運用評価の概要を述べさせていただく.
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