特集 医療の機能分化と連携
尼崎市における地域医療ネットワーク
藤岡 晨宏
1
1兵庫県立尼崎病院
pp.173-176
発行日 1995年3月15日
Published Date 1995/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901217
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はじめに
地域医療の充実をはかる尺度としては,医療のレベルの高低そのものよりも,むしろ医療を供給するシステムが整備されているかどうかが,より重要なものと考えられている.なぜならば,地域が医療に求めるものは平等性であり,だれでも,どこでも,いつでも同じ質の医療を受けることができる,ということが地域医療の原点となるべきだからである.
医学の進歩に伴って医療はますます高度なものとなり,医療にも専門分化が起こってくる.現代の日本においても画像診断の発達,臓器移植外科の進歩,遺伝子工学の利用などが医療の内容や在り方を変えつつあり,また一方では,社会が経済的に発展して安定してくるとともに,社会の医療に対する要求はより一層包括的なものとなる.従来の診療に加えて,疾病予防対策,早期発見のための検診,さらに癌や痴呆のターミナルケアも含めての充実が求められる.これらは行政が関与する分野でもあり,福祉との一体化のためにも医療のシステムが確立されなければならないと考えられている.
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