21世紀への食品保健行政 座談会
監視指導中心の食品保健行政をどう乗り越えるか
長見 萬里野
1
,
村上 紀子
2
,
山田 隆昭
3
,
高谷 幸
4
1財団法人日本消費者協会事務局
2女子栄養大学食情報科学
3東京都衛生局食品保健課
4厚生省生活衛生局食品保健課
pp.809-815
発行日 1994年11月15日
Published Date 1994/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901152
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■戦後の食品保健行政の流れと取締り行政の功罪
高谷 戦後を時代区分で見ますと,第二次世界大戦直後の昭和20年代は食糧難の時代で,飢餓からの脱出という目的があって,衛生よりはむしろおなかをいっぱいにする時代でした.30年代は慢性病の予防に力点がおかれ食品衛生上は食中毒,特に細菌性食中毒の予防が第一の目標でした.さらに40年代になると環境汚染問題,食品添加物などの食品の安全を求める声が高まる一方,健康指向の機運が芽生えてきました.50年代になると成人病問題が浮上し,それを予防するためにますます健康指向に拍車がかかり,そして現在は消費者の要望が多様化し,いろいろな食品が出回っている時代です.
このような流れの中で,わが国の食品保健行政は,戦後,一貫して監視,指導,取締りという警察的行政を行ってきましたが,その功罪に関するご意見を,大消費地を抱えた東京の最前線でご活躍の山田さんから口火をきっていただけますか.
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