特集 健康スポーツ科学の展開
スパ・フィットネス研究所の活動—スポーツ指導現場への科学的サポート
江橋 博
1
Hiroshi EBASHI
1
1スパ・フィットネス研究所
pp.850-853
発行日 1993年12月15日
Published Date 1993/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900932
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◆はじめに
改めて申すまでもなく,現代のわが国においては,従来の「どうしたら長生きができるか」という時代から,「この高齢化社会をどのように生きぬくか」ということが重要なテーマとして掲げられる時代である.したがって中高年齢者の占める割合は急速に増加し,いろいろな局面でこの年齢層が注目されている.とくに健康・体力づくりに関しては,いわゆる運動不足病ともいわれる心臓病,高血圧,糖尿病,腰痛などの発生数が多く,この年代ではこうした健康障害に陥ることを予防するための運動や食生活の重要性など,健康・体力づくりの意義が強調されている.
こうした社会的背景もあって,民間のスポーツクラブや公的機関の健康増進施設が雨後のタケノコのように建設されたのは,今から7〜8年前である.しかしバブルがはじけた現在は以前のような勢いはなく,流行に乗って安易にオープンしたスポーツクラブなどは閉鎖に追い込まれているのが現実である.このような施設は,しっかりした設立の理念を持たず,ただ流行に走って収益ばかりに視点をおいた例が多く,真の健康・体力づくりを指向した施設とは考えにくいところがあった.
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