特集 結核対策の最近の動向
結核治療の現状
亀田 和彦
1
Kazuhiko KAMEDA
1
1大阪府立羽曳野病院
pp.167-171
発行日 1993年3月15日
Published Date 1993/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900759
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◆はじめに
結核の化学療法は歴史的に3つの大きな段階を経て今日に至った.周知のごとく第1は1950年前後のSM(ストレプトマイシン)の出現であった.SMはそれのみでは耐性出現により肺結核の治療には限界があったが,当時若年成人の結核の最大死因であった腸結核に著効を示したため死亡を激減させた.薬剤により患者を救いうる結核の化学療法というものの可能性を確立した段階であった.
第2の段階は1952年からのINH(イソニコチン酸ヒドラジド)の出現であって,それまでのSM,PAS(パラアミノサリチル酸)にINHを加かえた3者併用により耐性の出現を阻止できることら,治療期間は非空洞例は2〜3年,空洞残存例は3〜4年が適正な期間とされた.しかしこの時代にあっても結核を治すためには,大気・栄養・安静を基盤とした入院治療を必要とした.SM,PAS,INHの効果が不十分とみるや,相次いで登場したKM(カナマイシン),EB(エタンブトール),CS(サイクロセリン),TH(エチオナマイド)等のminor drugの併用療法に変更し,空洞残存例は外科療法の適応とされ,1970年頃までは肺切除術が盛んに行われた.
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