特集 職業病から作業関連疾患へ
作業関連疾患
脳血管疾患
井谷 徹
1
,
臼田 章則
1
Toru ITANI
1
,
Akinori USUDA
1
1名古屋市立大学医学部衛生学教室
pp.675-678
発行日 1992年10月15日
Published Date 1992/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900661
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◆はじめに
厚生省「人口動態統計」によれば,脳血管疾患による死亡は,1951年から1980年の間,わが国の死因順位第1位の疾患であった.ちなみに,1970年における脳血管疾患による死亡率は人口10万人対175.8であった.しかし,その後脳血管疾患の死亡率は低下し,1990年の概数は99.3で,悪性新生物(1990年の死亡率177.0),心疾患(同134.7)に次いで死亡順位第3位になっている.
就労者の大半を占める20〜64歳における年齢別死亡率は,男女とも,高齢になれば悪性新生物による死亡が非常に高率となっている.脳血管疾患による死亡率をみると,男女とも年齢に比例して死亡率は増加しており,男性では45〜64歳の年齢層で死因順位第3位,女性では40〜64歳の年齢層で第2位あるいは第3位を占めている.また,各年齢層における死亡率は,男性で女性に比べ2倍近く高くなっている1)(図1,2参照).
このように,脳血管疾患による死亡は近年減少しており,特に,就労年齢における死亡原因としては,悪性新生物や心疾患,不慮の事故などに比べ重要性は低下しているといわれている.
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