特別寄稿
わが国における感染症の情報システムの沿革・3—感染症情報システムの現状と将来
大橋 誠
1
,
宮村 紀久子
2
,
倉科 周介
3
Makoto OHASHI
1
,
Kikuko MIYAMURA
2
,
Shiusuke KURASHIMA
3
1前東京都立衛生研究所
2国立予防衛生研究所ウイルス中央検査部血清情報管理室
3東京都立衛生研究所
pp.876-878
発行日 1991年12月15日
Published Date 1991/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900485
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感染症に対する世人の関心が近年とみにうすらいだかにみえるのは,古典的な感染症が病気という災害全体の中で占めていた規模と危険性が大幅に減少したためで,ごく自然な成り行きである.だが繰り返していうように,その結果として感染症とその対策を軽視する風潮が広がるのは感心できない.感染症が制圧されたのは,決して水も漏らさぬ計画性をもった対策だけの成果ではないからである.むしろ一見無関係にみえる社会構造の変化が連動して,感染症の退潮という好結果をもたらした可能性も大きい.だから社会が感染症との間で水を開けることのできた現在は,感染症を含めた疾病対策の再検討に着手する最適の時期といえるのではなかろうか.
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