調査報告
群馬県の一般健康住民におけるA型肝炎抗体保有状況
田島 貞子
1
,
石倉 健二
2
,
中村 忠義
1
Sadako TAJIMA
1
,
Kenji ISHIKURA
2
,
Tadayoshi NAKAMURA
1
1群馬県衛生環境部保健予防課
2群馬県桐生保健所
pp.884-886
発行日 1991年12月15日
Published Date 1991/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900489
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●はじめに
糞口伝染を主要伝播様式とするA型肝炎ウイルス(以下HAV)の感染は旧来,不顕性感染または,軽症例が多い学齢期前後がピークであること1)が知られているが,近年,わが国においては衛生状態の向上により,感染の機会が極端に減少し,A型肝炎抗体(以下HA抗体)を保有する世代の高年齢化が進んでいると言われている2,3).
一方,A型肝炎の患者発生は年次による変化4)はあるが,全国的にみると地域や施設での流行例や,散発発生例が報告されており,年齢的には成人層での発生頻度が高いとの報告がある5).
一方,1987〜88年,群馬県におけるA型肝炎の疫学調査においても,20〜40歳の成人層における発生が多いとの成績を得た6).
そこで今回,この成人層における患者発生の背景を血清疫学的に知ることおよび,群馬県内におけるHAVの浸淫状況調査等を目的として,1989年6月に年齢区分別に採血した血清について,HA抗体保有状況調査を行ったので報告する.
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