目でみる保健衛生データ
無菌性髄膜炎—厚生省感染症サーベイランス事業
宮村 紀久子
1
Kikuko MIYAMURA
1
1国立予防衛生研究所ウイルス中央検査部血液情報管理室
pp.652-653
発行日 1991年9月15日
Published Date 1991/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900426
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日本の無菌性髄膜炎の流行状況は,1981年に開始された厚生省感染症サーベイランス事業と,この一環である病原微生物検出情報によって全国的に全体像が把握されるようになった.これによれば,無菌性髄膜炎の主な病因はエンテロウイルスとムンプスである.サーベイランス事業で報告される無菌性髄膜炎患者の発生カーブは,エンテロウイルスの分離状況とよく一致し,エンテロウイルスの動向が無菌性髄膜炎の動きをよく説明する.
図1に1982〜90年の無菌性髄膜炎の患者発生状況と,1983〜90年に髄膜炎患者から分離された主なエンテロウイルスの月別報告数を示した.無菌性髄膜炎は夏季に毎年類似したパターンで増加するが,その病因は年ごとに違うウイルス型で,単一型の大流行が主流であったり複数の型の流行の組合せであったりする.(ただし,図1の患者発生パターンでは,1987年以降,報告様式が週報から月報に切り替えられたため,1986年以前については換算値を示したが,後半との比較は必ずしも適切でないかもしれない.)
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